『野ばら』(Heidenröslein)という詩があります。書いたのはドイツの詩人、ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)。
それを歌詞として、多くの作曲家が曲を書いています。
日本で有名なのは、シューベルトとウェルナーの二人です。
どっちもすごく有名で、メロディを聴いたら思わず口ずさんでしまうという方も多いのではないでしょうか。
ウェルナー作曲の方の野ばらで、原曲のキー(調)が何なのか気になって調べたことがあります。これが、分からないんですね。
Fメジャー(ヘ長調)の楽譜や、E♭メジャー(変ホ長調)の楽譜が多いようです。
調という話はやっかいで、こだわる人はとてのこだわりますが、一方で、どの調でも関係ないという人もいます。カラオケにいくと、なにがなんでも原曲キーが良いというような人もいますよね。
以前紹介したこの本の場合、
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階名唱が推奨されていますが、これは同じ曲を色々なキーで歌えるようにするのに役立ちます。
宗教曲などの場合、作曲者が何らかの意図をもってキーを選んでいる場合があります。例えば、♭3つの調は、三位一体説の「3」を意味している(あくまで例で、曲によって違います)など。
絶対音感があって、しかも共感覚があるという友人がいます。共感覚というのは、和音を聴くと色がイメージされるというものです。これを持っていると、キーによって曲のイメージは大きく変わるようです。
私は共感覚は持っていませんが、それでもキーが違うと曲の印象は変わるよなとは思います。高いよりも低い方がしっとりとして温かいとか、そういう印象の変化はあると思います。
野ばらに話を戻すと、有名なシューベルトとウェルナー意外にも、たくさんの作曲家が同じ詩を使って曲を書いています。
・楽譜「野ばら」91曲集
・楽譜 『野ばら』111曲集
なるものが存在しています。下のものの方は2015年と、比較的最近出版されたものです。最新の研究が反映されているのですね。
野ばらの他にも、同じ詩で違う作曲家が曲をつけている例として、同じくゲーテの詩『ミニョン』(Mignon)があります。ゲーテの詩というのは、作曲家の創作意欲をかきたててやまないようです。