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楽典の本

楽典の本で、基礎からわかりやすく勉強できるものでおすすめがあります。
東川清一さんという方の書かれた、「だれも知らなかった楽典のはなし」という本です。

この本とは中学校か高校に通っているくらいのときに出会いました。音楽の先生が紹介してくれたのだったと思います。

読んでみてとても目からうろこだったのが、「シャープはファ、フラットはシ」というルールです。これは、調号を見て調を判断するのに役立ちます。ここで言うファ、シというのは階名です。階名になじみがなければ、「シャープは下属音、フラットは導音」と考えればよいでしょう(こっちの方がなじみのない用語になってしまっていたらすみません)。

これは、部活で音楽をやっているような人すら理解してない人が多いのですが、調号でシャープやフラットがつく順番は決まっています。シャープ3個なら、絶対にファ、ド、ソにつくのです。5度圏という言葉がありますが、調号は、シャープが1つ増えるごとに、5度上の調になる仕組みになっています。

調号なしのハ長調(ドで始まる調)から、5度上の調(ソで始まる調)にするためには、ファの音の役割を階名のシ(導音)にしてやれば良いです。導音は主音と半音の関係ですから、ファにシャープをつけてやると、ソと半音の関係になって都合がよいです。なので、ハ長調の調号に最初につくシャープはファなのです。

次の調も同様で、ソから始まる調なら、ドから始まる調でファに相当するのが、ドになります。よって、次にシャープがつくのはドです。

このあたり、文章ではまったくもって伝わりにくいですが、「だれも知らなかった楽典のはなし」を読んでいただくと、とても分かりやすく図解入りで説明されています。

注意点として、東川さんは階名唱を非常に強く推しています。音の名前を階名なり音名なりで歌うことは重要だと思うのですが、どっちで歌うかを考えすぎて、歌うステップに進めなくなってしまうことほど馬鹿げたことはないと思います(私がこの本を読んでそんな状況になりました)。

階名と音名の違いについて触れておきます(イロハを使った歌い方もありますが、便宜上、ドレミを使った歌い方に絞ります)。

階名とは、音階の音の役割に応じてドレミを当てはめる方法です。主音にあたる音をドとします。
ピアノの鍵盤をイメージしてみましょう。調号の何もつかないハ長調なら、鍵盤のドの音が階名のドの音で一致します。

ところが、シャープが一つついた、ト長調のとき、主音はピアノのソの鍵盤になります。このとき、階名唱を行うならば、ソの鍵盤の音をドと呼びます。

この階名唱という歌い方は、音の役割を理解するのには非常に優れています。しかし、ピアノの話でもすでに混乱する方もいると思うのですが、楽器を使う場合には、楽器でいうドの位置と歌うドの位置がずれてくることがあって、分かりにくくなります。

逆に、音名唱の場合、シャープ一つのト長調でも、ピアノの鍵盤のソはソとして歌います。その代わり、主音がソになるので、直観的に理解しにくくなってしまいます。

階名唱なら、楽器と歌とのズレに慣れる必要がありますし、音名唱なら、主音の位置がドに限らないので、主音がドレミのどこに来ても主音だと理解できるようになる必要があります。

ここからさらに厄介な問題が出てくるのですが、移調楽器というものがあります。これは、譜面上で書かれた音と実際に楽器から出てくる音がずれている楽器のことです。こうなってくると、階名とも音名とも取れない謎の歌い方が登場してしまいます。

階名唱の弱点として、転調した場合にはそれまでと同じ音でも呼び方が変わるというのがあり、もろもろの問題を考えると、私は今は、楽譜に書かれている通りに音名で歌う(移調楽器の場合、正確には移調された音を歌ってしまうことになるので、厳密には音名唱と呼べないと思いますが)のが良いかなと考えています。

「楽器が弾ければいいや」という程度の方には少し専門的すぎるかもしれないのですが、趣味で音楽をやっているにしても、音楽理論に興味のある方は持っていて損のない一冊だと思います。

ただ、残念ながら絶版で、現在は入手が難しくなっています。Amazonでも売られていますが、値段が非常に高騰しています。

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